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第4節―だん―



 暖かい光が陰影を弾き、筧を流れる清流の様に歪曲する閃が無数に流れている。頭がジンジンと疼きその目に開かれたノートが落ちていた。『厄魔の夢を見た』そう書かれただけの頁。簡潔に僅か七文字だけで表された、或る意味で兇悪な、或る意味で悲痛な言葉。身体を転がして、天井を見詰めながら深く意気を吐いた。視界を天井からゆっくりと落とし壁にまで視線が流れる。そうやって自然に体が動く、決められた動作のように、自由に体が動かされるように、机に着きノートを手にしてペンを走らせた。あの後どうなったのだろう、私はまだ何も出来ていない、仮に私の助けがあったとしても、否彼の前には私達の(人間やそれに近い者)力など無に等しいのかも知れないが、しかし何もしないのと、何かするのでは訳が違う。

 永い、長い文字列を綴る。

 未来、万里の彼方の手前に観える青白い帯状の姿をした、『死神』。これはそれを討つための、英雄が現れるとき私がその助言者となるための、数少ない手段だと今分かった。でも、私は寝ているだけでいいのかな。正直な所物凄く恐い。恐ろしい。もし彼がこっちに来たら、もし彼を討てなかったら、そのときは。

 ペンを置き疲れに瞳がしょぼしょぼとしてそれも何度かごしごしと擦った。

 ――しかし、逢ってしまうのか分からない死神より、会う事が強いられる今の時代の人間の方が恐ろしいのかも知れない。

 「ソピア、フィルダム、王城に方々、城下の人達。どうか無事でありますよう」

 私はノートも閉じ、グッ拳に力をいれ背伸びをすると飛び跳ねる様に机を離れた。

 

 もしも、私のこの手で掴める未来ならば、全力で掴んでみせる。

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